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(中根英登:コトバイウ) あばうと

社会科と社会科学と社会学、その傾向と対策について

 

おはようございます。

元々は

社会学の学生として

キャリアをスタートしたわたしです

おはようございます。

 

社会人として就職した先での役割は

社会科の講師でしたからね。

県内じゅうの学校の定期テストの社会の問題を解いているんですよ。

ほら、傾向と対策と面白を説明しないといけないから。

 

ということはですよ。

この国で最も

社会について語れるのは

わたしだと言っても過言ではないわけですよ。

もし

恋人である彼女の実家に行くとして

彼女の父親から

私が出す社会科学の問題に答えなさい

って言われるのって

わりとよくあることじゃないですか。

じゃあそのような禅問答を吹っ掛けられた時

どのような回答をするのがおしゃれイズムかについて

わたしの方から

傾向と対策についてご説明したいと思います。

 

まずは

社会について。

 

社会って何でしょう?

 

社会って何じゃろねえ。

なんでしょうねえ。

 

いや

べつに

混ぜっ返しているわけではなくて。

むしろ

社会とはなにか

ぺらぺら説明できる方が怪しい。

 

どういうことかと言いますと。

 

さしあたり

三省堂が生んだ大ヒット辞典であるところの

新明解国語辞典

による

「社会」の語釈を読んでみましょう。

 

しゃかい【社会】

広い意味での共同生活を営む人びとの集団。

〔狭義では、特定の仲間意識を持つ人たちの集団を指す。〕

 

実はですねえ。

個人的な

あくまでわたしの個人的な見解なのですけど、

この語釈には

違和感があるのです。

 

人々の集団は

あくまでも集団にしかすぎない、と言いますか。

 

たしかに社会において

集団は必要不可欠な構成要素ではあるのですが

集団イコール社会ではないと言いますか、

集団にプラスアルファしたものが社会と言いますか、

集団のまわりにある空気感みたいなものが社会と言いますか、

集団が行っている何かが社会と言いますか。

 

Wikipedia

社会の項の1行目。

社会(しゃかい)は、人間と人間のあらゆる関係を指す。

そうそう。

この説明の方が実感に近い。

 

ブリタニカ国際大百科事典においても

社会(しゃかい)

この言葉は,日常的にも学問的にも多義的である。

とあるんですよねえ。

そうそう。そんな感じ。

 

小学生にとって

社会とは

学校での科目のひとつのことなんですよね。

いわゆる、社会科。

身の回りのことのうち、

言葉に関することは国語。

数字に関することは算数。

生物に関することは理科。

地域に関することは社会。

こんな感じでしたかね。

社会見学

という言葉で、社会を実感したなあ。

実際の社会見学は

会社見学でしたけどね。

不思議ですよね。

会社も社会も、同じ字を使っているのですよ。

字の順番を、入れ替えただけ。

 

三省堂

新明解国語辞典では、

かいしゃ【会社】

営利事業をすることを共同の目的として作った社団法人。

ですって。

社会と比べて、会社の方はだいぶ限定されてますよね。

大人が通う、お金を稼いでくるところ

的なイメージ。

小学生にさせる社会見学は

大人サイドから見ると

産業見学であったりするのですが。

農業、工業、商業、

それぞれの仕事の様子の見学

ですものね。

遠足と社会見学は違ったわけです。

 

中学生になると

社会科は

地理

歴史

公民

のことになるわけです。

 

地理は

日本地理

世界地理

そして

地名

地域名

気候

現在の地域の産業

現在の地域の風土

現在の地域の制度

と細分化された項目を学ぶわけです。

 

歴史は

日本史

世界史

そして

時代名

人名

年代

その時代の政治

その時代の経済

その時代の文化

と細分化された項目を学ぶわけです。

 

公民は

政治

経済

国際

そして

人権

憲法

世論

メディア

政党

選挙

国会

内閣

裁判所

地方自治

企業

金融

景気

シェア

消費

詐欺

流通

需要と供給

価格

貿易

国内総生産

税金

社会保障

労働者

公害

国際連合

文化多様性

紛争とテロ

軍縮

地球環境

資源問題

貧困問題

そして公民を習う最初に今では

対立と合意

効率と公正

尊厳と平等

について学ぶのですね。

これらは法の考え方として収斂していきます。

そして現代のキーワードが

少子高齢化

情報化

グローバル化

であるとの問題の共有化。

 

高校の社会は

中学の社会の内容を深化します。

 

それでですね。

長々と社会の語釈や社会科のおさらいについて

説明してきましたが

ここからが本題です。

びっくりですよね。

社会学について説明したかったのですよ

わたしは。

 

大学で習う

社会学

なんと

上で挙げた

どれでもないんですよ。

 

図にすると

こんな感じ。

 

f:id:CharlieGordon:20180618145205p:image

 

あの。

社会学って、

どれでもないんですよ。

政治学でも経済学でも法学でも心理学でも哲学でもない。

そもそも社会学が生まれたのはフランス革命後の19世紀。

最近誕生した学問なんですよ。

生まれた契機も

政治学でも経済学でも法学でも心理学でも哲学でも

拾えきれなかったものを

まとめて面倒見てやるぜゴルァ!

といったノリで誕生したものですから。

ですから

社会学の偉人には

自分が社会学の人であるという自覚がない方がいます。

むしろ、社会学を標榜する人が

この人、社会学っぽくね

と勝手に社会学に認定しているのですね。

 

マルクスがそうですね。

資本論』のマルクス

経済学者であり、政治学者であり、歴史学者でした。

いろんな学問を横断する構想力こそが

社会学的だとされているのですね。

 

社会学が学際の学問だ

と言われる理由がここです。

学際。すなわち、学問の際(きわ)。

従来の学問からこぼれ落ちている見方を

洞察する学問。

 

ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』なんて

まさしくそうですね。

プロテスタントの禁欲主義

という

宗教的生活が

お金を使わないために

貯蓄を生み、貯金が増え、

たくさんのまとまったお金が資本として運用され

資本主義の原動力になった

という考え方そのものが

宗教学に閉じこもっていては

経済学に閉じこもっていては

思いもつかなかった発想なわけです。

従来の学問を超えるからこそ

新しい、面白い真実が見つかる。

お金を使わなかったから、お金がもうかった。

最初と最後が真逆でしょ。

考え方がかっこいいよなあ。

 

そして先ほどの図。

図の全体が

社会科学を表しています。

 

f:id:CharlieGordon:20180618145205p:image

 

学問は

文系と理系に分けることができます。

文系は

語学と文学に代表される人文科学

政治学と経済学に代表される社会科学

理系は

物理学と化学に代表される自然科学

工学と医学に代表される応用科学

に分けることができます。

 

うーん。

今、文系と理系の何が違うのかについて

かれこれ考えていたのですが。

ひょっとしたら

決定的にコアなものって

ないのではないだろうか。

ひょっとしたら

ひょっとしたらだよ。

白衣が似合うのが理系で

白衣が似合わないのが文系。

たったそれだけの違いで分類されてしまったのではないだろうか。

 

形而上、すなわち概念を扱うのが文系で

形而下、すなわち物質を扱うのが理系

という考え方があるけど

そうしたら

理系の中心に存在すると思われた数学は

むしろ文系になってしまうんだよなあ。

数学こそ、概念でしょ。

数字を扱うのが理系、と考えると

今度は経済学が文系にいるのが怪しくなってくるし。

やっぱ白衣で決めてるんだな。決定。

 

文系と理系の違いについて考え続けていると

夜も寝られなくなっちゃうので

今日中に更新が終わらなくなっちゃうので

とっとと先に話を進めますとですね。

 

そもそも哲学こそ

今では人文科学に入れられがちですが

哲学って

文系理系どころか

学問すべての根幹ですからね。

考え方そのものを追究するのが哲学の本質ですから。

物質を究極に細分化すると原子に行き着くに違いない

という考え方も哲学ですからね。

物理学のルーツが哲学であるように

すべての学問のルーツが哲学なんです。

というか

総合科学である哲学から

様々なジャンルがのれん分けされていって

最後に取り残されたのが

現代の、狭い意味での哲学なんです。

かわいそうな哲学たん。。

 

なんだか

哲学が

うらぶれたラーメン屋さんのご主人であると

勝手にイメージを押し付けながらもですね。

 

社会学って、

哲学の現代の正当な後継者

という自負を持ちがちなんですよ。

哲学を発展させた動的な見方で概念を生んでいると。

新しい概念、新しいコンセプトを生みがち

なんですよ、社会学は。

 

デュルケムの『自殺論』において

自殺は個人的なことではまったくなく

社会的要因によって生じる

と考えたのですね。

個人と社会との結びつきが弱いから起こる、自己本位的自殺。

大家族より核家族の方が自殺率が高いことを説明します。

個人と社会との結びつきが強いから起こる、集団本位的自殺。

戦時下において自殺率が上がることを説明します。

社会が個人の欲望を抑え込まないから起こる、アノミー的自殺。

借金地獄によって自殺者が増えることを説明します。

社会が個人の欲望を抑え込むから起こる、宿命的自殺。

古代においての王の死に伴う奴隷の殉死を説明します。

じゃあ、アノミーって何だ

となりまして。

アノミーの具体的な例をみんなで探しまくって

この言葉が大流行したことがあったんですよ。

いわゆるひとつの、バズったわけですね。

 

じゃあ

あらためて。

個人に対峙する社会ってなんだ

となりまして。

個人から社会までを

個人以上社会以下を

すなわち、

個人と社会の間には何があるのか

を探り当てようとするのが

社会学なのですね。

個人と社会の違いを意識するようになったのは

実は、フランス革命以降なんです。

社会学が発明されたことによって

個人、が発見されたわけです。

個人主義の誕生です。

 

それに対して

自然に対峙する社会ってなんだ

という古代から古くからある考え方が

自然科学と社会科学の区分の仕方を生みました。

 

思うのですけどね。

ぱっと周りを見てください。

すべて、フィクションですよね。

もしフィクションが、自然ではなく、人が意図して作ったものであるならば

身の回りのものはすべてフィクションです。

部屋の中ならば、すべてフィクションだと断言してもいいですし、

都市に住んでいれば、部屋の外もフィクションです。

自然的だと思われる街路樹ですら人の意図が加わっていますので。

 

まっさらの自然の中に

人間による造形物を作った。それが文明です。

すなわち、文明の要素を説明するのが社会科学。

翻って、じゃあ自然って何だったのか

を説明しようとするのが自然科学。

 

じゃあ改めて。

 

私が出す社会科学の問題に答えなさい

と謎かけされたらどうすればいいか。

こうすればいいです。

分かりました。それでは社会を捕まえ縛り上げますので

この絵から社会を追い出してください、と。

 

個人の外にある大きないろんなものが社会。

自然の中に作った人為的なものが社会。

 

そして

社会というもの

と言いがちですが

おそらく社会はものではない。

おそらく社会は物ではない。

政治は国会議事堂か、と言われると違う。

経済は会社のビルか、と言われると違う。

文化は会館ホールか、と言われると違う。

社会は建物そのものではない。建物にまつわる何かが社会。

おそらく社会は人でもない。

政治は政治家か、と言われると違う。

経済はサラリーマンか、と言われると違う。

文化は芸能人か、と言われると違う。

社会は人そのものではない。人にまつわる何かが社会。

おそらく社会は字でもない。

核心に近づいている気もしますが、

政治や経済や文化、つまり社会とは、

字、そのものではなく、

字の中に含まれている、指示や、衝突、折衝のこと。

 

おや。

公民の冒頭の章の暗記用語に戻ってきましたね。

 

対立と合意。

効率と公正。

尊厳と平等。

 

そうですね。

私が出す社会科学の問題に答えなさい

と聞かれたら

新明解国語辞典の実社会の語釈は言わない方がいいです。

じっしゃかい【実社会】

実際の社会。美化・様式化されたものとは違って、複雑で、虚偽と欺瞞とが充満し、毎日が試練の連続であると言える、きびしい社会を指す。

 

違うでしょ。

この文章が辞書に載っていることこそ

この世界は異世界なのかな

って思っちゃいます。

 

実社会とは

虚偽や欺瞞のない、毎日がんばることのあるしあわせをかみしめる、ドキドキとワクワクが手に入る社会を指す。

ですよねえ。

わたしも、あなたも。

 

(・▽・) 社会については様々な捉え方がありますが、いずれにせよ、虚偽や欺瞞のない、合意と公正と平等を粘り強く実現していく、より良い社会を目指す一員でありたいと思っています。

 

これが

私が出す社会科学の問題に答えなさい

に対する、本質的な心掛けではないかなあと思っています。

 

このことばって

そもそもなんだっけ。

それって哲学ですし、

それって社会学ですし、

それって文明の説明、すなわち社会科学ですし、

そもそも人にとって大切なことです。

社会を大切にするために。社会で丁寧に過ごすために。

社会を構成する一員として。

 

ひいては、それが、

人を大切にすることにつながると思うんだ。

人と丁寧に関わることにつながると思うんだ。

 

ことばつむぎ。

ことばを、つむごう。

 

 

 

 

 

来てくれてありがとね。ここは、がんばる人を応援するサイトなんだ。なんだったら。
cotobatsumugi @ NAKANE Hideto(`・ω・´)